■ 水が低きに流れるのは道理。道理にしたがって勝ちを計算する!
彼我の勝敗を計算する者は、人民を戦闘させるにあたって、満々とたたえた水を千仭の谷底へ決壊させるように仕組む。それこそが勝利に至る態勢なのです。
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恐ろしく短文(一文)の節ですが、第4章 形篇 の結語になります。
満々とたたえた水を千仭の渓谷に向けて決する時、
(この「決する」というのは、水をせき止めておいた堰(つつみ、せき)を決壊させること)
もはや何者もその激流を押しとどめることはできない。そのような勢いと方向づけをあらかじめ計算しておき、勝利が水が低きに流れる道理ぐらい手に入ることが確実な戦いのみを始める。そういう作戦を事前に立てておきなさいということ。
民衆を戦闘に投入する将軍は、こうした必勝の態勢を構築することにこそ努力するべきであり、間違っても、兵士の勇戦力闘、すなわち民衆のおびただしい犠牲によって、自己の作戦計画の稚拙さを穴埋めしたりしてはいけないのです。
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