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■ パナマ文書の公開で、日本の企業と個人も説明対応に大わらわ

経営管理会計トピック

5/10に、パナマ文書の内容が公開され、日本に居住する個人や法人が関与したペーパーカンパニー270社、日本在住者約400人が含まれていることが、パナマ文書を入手・分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に参加した共同通信からも明らかにされました。そこから4、5日経って、ようやく落ち着いた解説記事も出てくるようになりました。

2016/5/16付 |日本経済新聞|朝刊 (衝撃パナマ文書)租税回避地 多様な思惑 企業、二重課税リスク回避/富裕層、高利回りの資産運用

「タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴く「パナマ文書」が公開された。約21万社に及ぶペーパーカンパニーを読み解くと、ビジネス展開の利便性を追求する企業や投資目的の富裕層の利用が目立ち、専門家からは「日本も税制のゆがみの見直しにつなげるべきだ」との声が上がる。一方、税務当局などには違法性の有無の確認が求められる。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

それでは、パナマ文書公開直後の日本経済新聞の夕刊記事から。一応、「パナマ文書」公開の背景とその概要のおさらいから。

2016/5/10付 |日本経済新聞|夕刊 ペーパー会社 中国突出 パナマ文書公開 2.5万人・法人 世界に節税網拡大

「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は10日、タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を示した「パナマ文書」に関し、約21万社のペーパーカンパニーに関する情報を公開した。カンパニー設立に関与した個人や企業の所在地は、中国が約2万5千人・法人に上り、突出して多かった。多くの取引が香港やスイスを経由するなど、世界に広がる節税網の実態が明らかになった。」

(下記は同記事添付の、ペーパーカンパニー設立状況の解説図を転載)

20160510_ペーパー会社設立に関与した個人・法人の多い主な国・地域_日本経済新聞夕刊

解説記事をサマリすると以下の通り。


(1)パナマ文書とは
租税回避地へのペーパーカンパニー設立を請け負うパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部資料。文書を入手したICIJが同日、各国当局などが閲覧できるよう、ペーパーカンパニーの名前や住所など主要な情報をデータベース化して、ウェブサイトに公表した。

 

(下記は、同記事添付のICIJのウェブサイトに公開された「パナマ文書」の日本企業関連資料ページ)

20160516_ICIJのウェブサイトに公開された「パナマ文書」の日本企業関連資料ページ_日本経済新聞朝刊

ICIJのパナマ文書公開のサイトへのリンクはこちら(英文)

上記サイトで名前を入力してリストに上がっているかどうかを検索するページはこちら(英文)

(2)ペーパーカンパニー設立に関与した個人・法人の特徴
ペーパーカンパニーの役員や株主に名を連ねた個人・法人を住所別でみると、中国のほか、香港が約1万3千、英国が約5000に上る。多国籍企業が拠点を置いたり、富裕層が住んでいたりする国・地域が多かった。日本に住む個人・法人は約400で、大手商社とみられる名前も含まれていた。

(3)ペーパーカンパニー設立の主な流れ
パナマ文書に含まれるペーパーカンパニー約21万社が金融業が発達した香港などを経由して、パナマや英領バージン諸島などの租税回避地に設けられた実態も浮き彫りになった。
顧客は香港、スイスなどにある富裕層向け銀行や法律事務所に依頼。モサック・フォンセカが手続きを請け負い、租税回避地にペーパーカンパニーを設けていたようだ。香港、スイスを経由してつくられたペーパーカンパニーはそれぞれ約3万8千に上る。
————————————————

 

■ タックスヘイブン(租税回避地)に至る前に、脱税・節税などの諸概念を整理

冒頭の記事では、タックスヘイブンにおけるペーパーカンパニー設立の目的は、必ずしも「節税(または脱税)」目的に限らない、ということが強調された解説がなされていました。

ここで「節税」と「脱税」はどう違うのか?

● 脱税
・納税義務があると見なされている人が、その義務の履行を怠り、偽りや不正といった行為によって、納税額の一部あるいは全部をのがれて不当に税金の負担を減らしたり免れたりすること

「申告漏れ」
計算誤りにより所得が過少となっていた場合や、税法の解釈の誤り、解釈の相違による過少申告、また所得を得ていることを知らなかったり申告手続きが遅れた場合や、その所得が申告すべきものであると知らず放置していただけの場合は通常脱税の範疇に含まれないものとされ、意図的な所得隠しには当たらないもの

「所得隠し」
税務調査の結果所得隠しを目的とした仮装・隠蔽の事実が認められた場合は、通常の過少申告加算税に変えて重加算税が賦課される。こちらは、納税者側の意図的な申告額の調整を意味する

「代表的な手段」
・正規の帳簿とは別に税金申告用に利益の少ない帳簿を作る(二重帳簿)
・事業の売上を帳簿に載せないで自分のポケットマネーにする(売上の除外)
・存在しない経費をあたかも支出したように帳簿に載せる(架空経費の計上)
・そもそも税金の申告をしない

● 節税
法(租税法)の想定する範囲で税負担を減少させる行為。法律の規定にも基づいて、合法的に税金を圧縮するために、法律などにおいて定められている様々な特典やメリットを適用することで、その法律が想定する範囲内で、合法的に税金の負担を減らしたり税金の免除を受けること

「代表的な手段」
・法人税や所得税の青色申告の承認を受ける
・所得税の医療費控除を受ける

そして、

● 租税回避
法律(税法)が想定する通常の取引形式とは異なる合理的ではない異常な取引形式をあえて選ぶことによって、通常の取引形式とほぼ同じような経済的効果を実現しながら、通常の取引形式の場合と比較して、税金の負担を減らしたり免れたりすること

課税要件の充足という事実を隠匿する行為によって違法・不当に税の負担を逃れるのが「脱税」、税法の想定する範囲内の取引で合法・正当に課税額の低減を図る行為が「節税」で、「租税回避」は、形式的には合法な行為だが、想定の範囲を超えた異常な法形式を用いていることからグレーな存在

具体的には、
・タックスヘイブンを活用した租税回避のスキームを形成
・タックス・シェルターといわれる税金逃れの金融商品の購入
という手段が採られます。

 

■ タックスヘイブン(租税回避地)利用の目的は節税目的だけは無い!?

ここでようやく、冒頭記事の紹介に入れます。

タックスヘイブン活用の目的について、節税(これを完全に合法と言えるかという論点は置いておいて)目的とそれ以外に整理した解説図がでかでかと。。。

(下記は、同記事添付のタックスヘイブン利用目的の解説図を転載)

20160516_タックスヘイブン(租税回避地)の利用目的_日本経済新聞朝刊

この解説図を用い、グローバル企業がタックスヘイブンを活用する目的を整理すると、

(1)法人設立にかかるコスト削減とスピードアップ
回避地では法人の設立や管理が容易。現地に渡航しなくても数日程度で法人を立ち上げることができ、会計監査や取締役会の開催義務もない。事業展開のスピードが求められる企業にとって、それ自体がメリットになる

(2)二重課税のリスク回避
法人税は事業を行った国の所得を基に各国で納めるのが原則。ただ複数国にまたがる取引では、本社がある国と子会社を置く国の税務当局の見解が違い、本国と子会社設置国から二重に課税される状態である「二重課税」のリスクを回避する

企業は両国間で課税額を調整するよう相互協議の申し立てができ、事前に課税範囲を定めておく事前確認制度(APA)もある。だが両国間の協議は決裂も多く、結局、税務訴訟などで解決が長引く傾向が強い。

(例)ホンダが2004年にブラジルの子会社を巡り東京国税局から約75億円を追徴課税された例では、裁判で課税取り消しが確定し二重課税が解消するまで11年かかった。

(3)海外企業との合弁を円滑に進めるために秘匿性の高さを利用
中国や中東の企業は、本国と政治的に対立する国でのビジネスをやりやすくするため、回避地に子会社を置いて“本籍”を隠す手法を好む場合がある。
回避地には法人の役員や株主を第三者名義で登記できる「ノミニー制度」があり、外部からは誰が真のオーナーかわからないという特徴もある。

(参考)
ノミニー(Nominee)とは、名義上の代理人のこと。香港のノミニー制度が日本企業も使いやすく、法整備も進んでいます。但し、2014年の会社法改正により、法人のみの取締役は認められなくなり、少なくとも1名は自然人(個人)を入れることが義務付けられました。

香港BS

上記サイトで紹介されている香港で会社設立をおこなう利点や特徴

① 法人税16.5%、株式譲渡益などのキャピタルゲインが非課税、損失を永続的に繰り越せる
② 会社運営に関わるすべての交際費が全額損益計上できる
③ 香港域外が源泉となる国外源泉所得(オフショア所得)は、基本的に非課税
④ イギリスのコモンロー(法概念)がベースであり、日本と同様に法整備が万全
⑤ 日本人1名で会社設立ができ、会社維持コストも低い(オフィスや雇用は不要)
⑥ 事業や貿易の規制が少ない(経済自由度指標2014年:世界第1位)

 

■ 富裕層はタックスヘイブン(租税回避地)利用に加え、タックス・シェルターを活用する!

同記事では、
「パナマ文書には、日本人とみられる約230人の個人の名前もあった。日本の富裕層が回避地にペーパーカンパニーをつくるのは、国内の規制では購入できない金融商品に投資し、投資効率を高める目的が多いという。」

とあります。これは、税負担を軽くできる取引スキームでの金融商品を、匿名性の高い地域(香港など)を経由して、タックスヘイブンの低税率で運用することで、二重三重に課税負担を回避することを狙いにしています。

「スイスに本社を置くプライベートバンクの担当者は「高利回りの社債や数十億円の高額保険などを組み合わせた資産運用が一般的」と指摘する。
日本に居住する限り、海外資産も日本の相続税の課税対象になるが、多様な金融商品で高利回りで運用できる上、相続税分を高額の保険金でカバーできるという。」

日本は2014年から海外にある5千万円超の財産を税務署に報告する「国外財産調書制度」を導入しました。回避地を経由する資金の流れの大半は報告が義務付けられており、パナマ文書の公開に前後して、この制度の紹介も各種マスコミを通じて大々的に報じられました。

国外財産調書制度に関するお知らせ|パンフレット・手引き|国税庁

気になる方は、まずは上記リンクでお上のお達しを確認してみて下さい。まあ、検索すれば、得意とする税理士事務所のサイトはザクザクでてきますが。。。

日本経済新聞の法務欄の記事ですので、エキセントリックな記述にはなっていませんが、やはり、タックスヘイブンの活用の主な目的は租税回避があるという印象はぬぐえませんでしたね。そして、「脱税」「節税」「租税回避」の微妙な違い。このニュアンスの違いを理解いただくだけでも筆者も含め一般大衆は宜しいかと。まったく、縁のない世界のお話でありました。(^^;)

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

(関連投稿)
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⇒「国際課税新ルール、日本企業でも適用 海外子会社の情報収集 本国との二重課税リスクも
⇒「グループ戦略「税」の逆風 企業に不利な判決相次ぐ 租税回避の認定厳しく -IBM、ヤフー、神鋼商事、日産の事案について

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(衝撃パナマ文書)租税回避地 多様な思惑 企業、二重課税リスク回避/富裕層、高利回りの資産運用http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭経済動向を会計で読むICIJ,タックスヘイブン,タックス・シェルター,ノミニー制度,パナマ文書,ペーパーカンパニー,国外財産調書制度,国際調査報道ジャーナリスト連合,所得隠し,申告漏れ,租税回避地,節税,脱税■ パナマ文書の公開で、日本の企業と個人も説明対応に大わらわ 5/10に、パナマ文書の内容が公開され、日本に居住する個人や法人が関与したペーパーカンパニー270社、日本在住者約400人が含まれていることが、パナマ文書を入手・分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に参加した共同通信からも明らかにされました。そこから4、5日経って、ようやく落ち着いた解説記事も出てくるようになりました。 2016/5/16付 |日本経済新聞|朝刊 (衝撃パナマ文書)租税回避地 多様な思惑 企業、二重課税リスク回避/富裕層、高利回りの資産運用 「タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴く「パナマ文書」が公開された。約21万社に及ぶペーパーカンパニーを読み解くと、ビジネス展開の利便性を追求する企業や投資目的の富裕層の利用が目立ち、専門家からは「日本も税制のゆがみの見直しにつなげるべきだ」との声が上がる。一方、税務当局などには違法性の有無の確認が求められる。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます それでは、パナマ文書公開直後の日本経済新聞の夕刊記事から。一応、「パナマ文書」公開の背景とその概要のおさらいから。 2016/5/10付 |日本経済新聞|夕刊 ペーパー会社 中国突出 パナマ文書公開 2.5万人・法人 世界に節税網拡大 「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は10日、タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を示した「パナマ文書」に関し、約21万社のペーパーカンパニーに関する情報を公開した。カンパニー設立に関与した個人や企業の所在地は、中国が約2万5千人・法人に上り、突出して多かった。多くの取引が香港やスイスを経由するなど、世界に広がる節税網の実態が明らかになった。」 (下記は同記事添付の、ペーパーカンパニー設立状況の解説図を転載) 解説記事をサマリすると以下の通り。 (1)パナマ文書とは 租税回避地へのペーパーカンパニー設立を請け負うパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部資料。文書を入手したICIJが同日、各国当局などが閲覧できるよう、ペーパーカンパニーの名前や住所など主要な情報をデータベース化して、ウェブサイトに公表した。   (下記は、同記事添付のICIJのウェブサイトに公開された「パナマ文書」の日本企業関連資料ページ) ● ICIJのパナマ文書公開のサイトへのリンクはこちら(英文) ● 上記サイトで名前を入力してリストに上がっているかどうかを検索するページはこちら(英文) (2)ペーパーカンパニー設立に関与した個人・法人の特徴 ペーパーカンパニーの役員や株主に名を連ねた個人・法人を住所別でみると、中国のほか、香港が約1万3千、英国が約5000に上る。多国籍企業が拠点を置いたり、富裕層が住んでいたりする国・地域が多かった。日本に住む個人・法人は約400で、大手商社とみられる名前も含まれていた。 (3)ペーパーカンパニー設立の主な流れ パナマ文書に含まれるペーパーカンパニー約21万社が金融業が発達した香港などを経由して、パナマや英領バージン諸島などの租税回避地に設けられた実態も浮き彫りになった。 顧客は香港、スイスなどにある富裕層向け銀行や法律事務所に依頼。モサック・フォンセカが手続きを請け負い、租税回避地にペーパーカンパニーを設けていたようだ。香港、スイスを経由してつくられたペーパーカンパニーはそれぞれ約3万8千に上る。 ------------------------------------------------   ■ タックスヘイブン(租税回避地)に至る前に、脱税・節税などの諸概念を整理 冒頭の記事では、タックスヘイブンにおけるペーパーカンパニー設立の目的は、必ずしも「節税(または脱税)」目的に限らない、ということが強調された解説がなされていました。 ここで「節税」と「脱税」はどう違うのか? ● 脱税 ・納税義務があると見なされている人が、その義務の履行を怠り、偽りや不正といった行為によって、納税額の一部あるいは全部をのがれて不当に税金の負担を減らしたり免れたりすること 「申告漏れ」 計算誤りにより所得が過少となっていた場合や、税法の解釈の誤り、解釈の相違による過少申告、また所得を得ていることを知らなかったり申告手続きが遅れた場合や、その所得が申告すべきものであると知らず放置していただけの場合は通常脱税の範疇に含まれないものとされ、意図的な所得隠しには当たらないもの 「所得隠し」 税務調査の結果所得隠しを目的とした仮装・隠蔽の事実が認められた場合は、通常の過少申告加算税に変えて重加算税が賦課される。こちらは、納税者側の意図的な申告額の調整を意味する 「代表的な手段」 ・正規の帳簿とは別に税金申告用に利益の少ない帳簿を作る(二重帳簿) ・事業の売上を帳簿に載せないで自分のポケットマネーにする(売上の除外) ・存在しない経費をあたかも支出したように帳簿に載せる(架空経費の計上) ・そもそも税金の申告をしない ● 節税 法(租税法)の想定する範囲で税負担を減少させる行為。法律の規定にも基づいて、合法的に税金を圧縮するために、法律などにおいて定められている様々な特典やメリットを適用することで、その法律が想定する範囲内で、合法的に税金の負担を減らしたり税金の免除を受けること 「代表的な手段」 ・法人税や所得税の青色申告の承認を受ける ・所得税の医療費控除を受ける そして、 ● 租税回避 法律(税法)が想定する通常の取引形式とは異なる合理的ではない異常な取引形式をあえて選ぶことによって、通常の取引形式とほぼ同じような経済的効果を実現しながら、通常の取引形式の場合と比較して、税金の負担を減らしたり免れたりすること 課税要件の充足という事実を隠匿する行為によって違法・不当に税の負担を逃れるのが「脱税」、税法の想定する範囲内の取引で合法・正当に課税額の低減を図る行為が「節税」で、「租税回避」は、形式的には合法な行為だが、想定の範囲を超えた異常な法形式を用いていることからグレーな存在 具体的には、 ・タックスヘイブンを活用した租税回避のスキームを形成 ・タックス・シェルターといわれる税金逃れの金融商品の購入 という手段が採られます。   ■ タックスヘイブン(租税回避地)利用の目的は節税目的だけは無い!? ここでようやく、冒頭記事の紹介に入れます。 タックスヘイブン活用の目的について、節税(これを完全に合法と言えるかという論点は置いておいて)目的とそれ以外に整理した解説図がでかでかと。。。 (下記は、同記事添付のタックスヘイブン利用目的の解説図を転載) この解説図を用い、グローバル企業がタックスヘイブンを活用する目的を整理すると、 (1)法人設立にかかるコスト削減とスピードアップ 回避地では法人の設立や管理が容易。現地に渡航しなくても数日程度で法人を立ち上げることができ、会計監査や取締役会の開催義務もない。事業展開のスピードが求められる企業にとって、それ自体がメリットになる (2)二重課税のリスク回避 法人税は事業を行った国の所得を基に各国で納めるのが原則。ただ複数国にまたがる取引では、本社がある国と子会社を置く国の税務当局の見解が違い、本国と子会社設置国から二重に課税される状態である「二重課税」のリスクを回避する 企業は両国間で課税額を調整するよう相互協議の申し立てができ、事前に課税範囲を定めておく事前確認制度(APA)もある。だが両国間の協議は決裂も多く、結局、税務訴訟などで解決が長引く傾向が強い。 (例)ホンダが2004年にブラジルの子会社を巡り東京国税局から約75億円を追徴課税された例では、裁判で課税取り消しが確定し二重課税が解消するまで11年かかった。 (3)海外企業との合弁を円滑に進めるために秘匿性の高さを利用 中国や中東の企業は、本国と政治的に対立する国でのビジネスをやりやすくするため、回避地に子会社を置いて“本籍”を隠す手法を好む場合がある。 回避地には法人の役員や株主を第三者名義で登記できる「ノミニー制度」があり、外部からは誰が真のオーナーかわからないという特徴もある。 (参考) ノミニー(Nominee)とは、名義上の代理人のこと。香港のノミニー制度が日本企業も使いやすく、法整備も進んでいます。但し、2014年の会社法改正により、法人のみの取締役は認められなくなり、少なくとも1名は自然人(個人)を入れることが義務付けられました。 ● 香港BS 上記サイトで紹介されている香港で会社設立をおこなう利点や特徴 ① 法人税16.5%、株式譲渡益などのキャピタルゲインが非課税、損失を永続的に繰り越せる ② 会社運営に関わるすべての交際費が全額損益計上できる ③ 香港域外が源泉となる国外源泉所得(オフショア所得)は、基本的に非課税 ④ イギリスのコモンロー(法概念)がベースであり、日本と同様に法整備が万全 ⑤ 日本人1名で会社設立ができ、会社維持コストも低い(オフィスや雇用は不要) ⑥...現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します