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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(51)トラブルに巻き込まれないということ

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トラブルを回避するためには

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

外部リンク  G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページ(英語)

残念ながら、私たちの人生は、こちらが歓迎の宴の準備を怠っていたとしても、トラブルは向こうの方から喜んでやってくるようです。そして、トラブルの中には、どうあがいても、避けようのないものが含まれています。

ワインバーグ氏は、次のように語っています。

私が経験するたいていのトラブルは、ただ一つの出所からきている。その出所とは私だ。だからこの私は例のゴーマン法則、つまり欠陥を機能に変えるという技術を身につけたのだ。

G.W.ワインバーグ著「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」(P96)

ちなみに、ゴーマン法則とは、ITの世界ではおなじみの、次のような会話に潜んでいます。

客:「どうしてお得意様ごとに請求書をまとめて発行できないんですか?」
SE:「それは仕様だからです」
客:「だって、売上伝票は月に何十枚にもなるんだから、請求書は一つにまとめたくなるの分かりますよね」
SE:「ええ、とてもよく分かります。でも、このシステムは、取引ごとに消し込んでいけるので、一件一件の処理を都度ごとにきめ細かく対応できるんですよ」
客:「なるほど、それがこのシステムの売りなんですね」
SE:「はい、その通りです!」

わなから逃れる方法とは

いくつかプロジェクトをやっていると、仕掛けられた「わな」がそのうちに見えるようになります。「この手の作戦に手を出したら、時間が足りなくなるに違いない」「虱潰しに原因探求するより、そもそもこの手の問題が発生しないようにすることを考えたほうが早い」というふうに。

この後の回でワインバーグ氏の妙手をいくつかご紹介するのですが、それらに共通している点があります。今回はそちらを先に共有しておきます。

①危うくなることが分かったら、すぐに知らせてくれる仕掛けをあらかじめ用意しておく
②その仕掛けは意識的なものより、無意識的に発動するほうが安全性が高い
③警報はできるだけ早く、そしてできるだけ正確に
④警報システムはコスト(時間と手間暇を含む)ができるだけ安上がりのほうがありがたい

ワインバーグ氏は、いったんトラブルに巻き込まれたら、それをうまくかわしてトラブルにしない、「ゴーマン法則」を身につけていましたが、トラブルが起きるたびに「ゴーマン法則」を発動させてばかりいると、やがて、「ゴーマン法則」の方も擦り切れて、効能が徐々に弱くなっていきます。

何回も同じ手を使い続けていると、クライアントからの信頼も徐々に落ちることになります。「ゴーマン法則」はそういう意味では、トラブルに巻き込まれてしまった場合の最後の手段にとっておいたほうが無難でしょう。

攻めと守り、どっちが得意ですか?

大見得を切って、クライアントの課題解決に対処しようとするか、それとも、クライアントが危機に陥らないように、もっというと、コンサルタント自分自身がトラブルに巻き込まれないように、慎重に対処しようとするか、どちらを良しとするか、その人の個人的な好みによると思います。

この点について、どちらの対処法がよいか、即断することはできません。ケースバイケースかもしません。でも、孫子の次の言葉を知っておくと、いざというときに役立つかもしれません。

昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。
勝つべからざるは己れに在るも、勝つべきは敵に在り。
故に善く戦う者は、能く勝つべからざるを為すも、敵をして勝つべからしむること能わず。
故に曰わく、勝は知るべし、而して為すべからずと。

昔の戦上手は、まず自軍の守りをしっかり固めたうえで、敵が弱点をあらわして勝てる態勢になるのを待った。破られない態勢を整えるのは味方次第だが、勝てる態勢になるかどうかは敵次第である。だから、戦上手な者でも、味方を破られない態勢にできても、だれもが勝てる態勢にはできない。そこで「勝利は予想できても、必ず勝てるわけではない」と言われるのである。

孫子 形篇 先ず勝つからざるを為して

まずは、負けない戦をすること。勝機を見出すことができれば、それに付け込んで勝利を手にすればいいし、負けていない限り、勝機を見出すまで、戦をやめないで済むのです。つまり、勝利か、戦の継続か、いずれにせよ、そこには負ける要素は微塵もないのです。そういう戦い方をいつもしてみたいものです。^^;)

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