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コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学(57)相互引き金条約 仲間にならないと耳を貸してくれないというリスク

経営コンサルタントのつぶやき_アイキャッチ本レビュー
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転ばぬ先の杖ならぬ、頭の中の引き金

このシリーズは、G.W.ワインバーグ著『コンサルタントの秘密 - 技術アドバイスの人間学』の中から、著者が実地で参考にしている法則・金言・原理を、私のつまらないコメントや経験談と共にご紹介するものです。

外部リンク G.W.ワインバーグ氏の公式ホームページ(英語)

同じ仕事についている人々の間では、積極的な取り決めのないままに引き金条約といういったものができてくることがある。「私がそれをやっていたら、あなたはそれをいってくれ。あなたがそれをやっていたら、私がそれをいってあげる。」というのだ。だがそれは、相互的で対称的でなければならない。

G.W.ワインバーグ著「コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学」(P109)

あなたが大変な物事に取り掛かっている際、絶妙のタイミングでナビゲーションの声が聞こえてくる状態であればなあと考えたことはありますか? 私は自分が完璧ではないという真実を、いつも、失敗してから気が付きます。

どうせなら、失敗をしでかす原因行動を起こしそうになる直前に気づけばいいのに。といつも、失敗してから悔やみます。それが、ワインバーグ氏がいう自分の頭の中に「引き金」を持とう、という心がけに通じるものであると考えています。

お互いに引き金を引きあう仲になるためには

あなたは、誰の忠告になら、心地よく耳を傾けるでしょうか。年長者、組織のボス、それとも配偶者や恋人? そういう人間関係に囚われての耳順もいいですが、どういう資格・立場の人の意見を参考にしていますか?

意外に、自分より見識や能力が上であると認める人や専門家とされる方の意見より、同じグループに属している仲間内の意見になら、素直に心が従うことはないでしょうか。

「先生」と呼ばれる人たちの大所高所からのご意見は、御説ごもっとも。しかしながら、現実離れしているとか、現場を見ていないとか、臨機応変な具体的な提言を聞きたいとか、事が終わってから評論をききたいんじゃなくて、事が始まる前の対策を聞きたいんだとか、あまり、気持ちよく耳を貸すということはありませんよね。

人が、一番素直に耳を傾ける相手とは、自分と同じグループに属している人なのだそうです。ワインバーグ氏はITコンサルタントとして有名です。当然のごとく、クライアントはIT関係者になります。

そのワインバーグ氏が本書で語っているには、プログラマという人種は、惨事についての経験はものすごく積んでいるけれど、アウトサイダーから問題を指摘されるとあまりいい顔をしないのだそうです。

これは、プログラマという職種にだけ特有な事象ではなく、営業マンとディスカッションしていても、昔営業部門で鳴らした古株の、今は管理部門のマネジャーを尊重するとか、複数のコンサルティングファーム合同でプロジェクトしていても、同じファームの同僚の意見の方をつい尊重してしまうとか、あるある、だと思います。

ですから、どうにかして、自分の言動の至らないところを、クリティカルな間違いに至る前にファインチューニングするかは、どうにかして、自分の近くに、心地よく耳を傾けられる人(仲間)を置くか、という問題になります。

オウム返しの強力な補正能力

どうして、同属意識を持つ相手の意見に耳を傾けることが、それほど苦痛にならないのでしょうか? これは心理学や社会学における偉大なテーマのひとつなので、ここで蘊蓄をさらに上乗せするつもりはありませんが、ひとつだけ言いたいことがあります。

それは、「オウム返し」の質問の効果についてです。

例えば、あなたが、株式投資をしていて、現在とある株を売るかどうかを悩んでいるときに、全くの株式投資のド素人に、「ねえ、今、A社株を売るタイミングかな?」と尋ねたとして、そのド素人が、「あなたは、今、A社株を売ってもいいタイミングだと思っているの?」と聞き返されたとき、なんとなく、その返答に素直に耳を貸そうとは思わないのではないでしょうか?

しかし、同じレベルで株式投資にのめり込んでいる投資仲間に同じ質問をして、同じオウム返しの言葉が返ってきたとき、その時は、先ほどの印象とは異なり、「そうか、日米金利差も縮まってきていることだしね、、、」という感じで、会話が弾むのではないでしょうか。

壁打ち相手(言葉のやり取りによって、自分の意見や考えを正そうとする際に、会話の相手になってくれる適切な人)として望ましいのは、自分と同じレベルかちょっとだけ上で、自分の状態も理解してくれているうえに、適切・適時の「オウム返し」をきちんと返答してくれる相手ではないでしょうか。

これは、コンサルティングではなく、コーチングのスキルですよね。まずは傾聴し、相手が自分で自分の問題に気づかせるという手法は。

下記サイトでは、「答えを創り出すサポートをするのがコーチングである」と説明されています。

コーチングとは | 一般社団法人日本コーチ連盟
コーチングとは、本人特有の感情や思考のはたらきを行動の力に変えることで目標達成や自己実現を促す、コミュニケーション技術です。

地方創生を成功に結び付ける三者とは

地方創生、一昔前は「村おこし」とも表現されてきたことですが、村おこし、町おこしを成功させるには、既成概念を打ち壊す必要があるという視点から、「馬鹿者」「若者」そして「よそ者」の意見を取り入れる、というやり方が存在します。

一応、賛否両論がある意見なので、両論併記の形で下記に賛否両論のサイトを紹介しておきますね。

「よそ者、若者、ばか者」論は正しいか? 地方創生と人材育成
地方創生を掲げ、各地・各分野での取り組みが行われている。それらの成功や失敗を論じるには、十分な時間が経過したとは言えないが、これまでの取材経験に基づき、問題提起をしたい。
地方創生の切り札は「よそ者」「馬鹿者」そして「若者」――増田寛也氏インタビュー (2ページ目)
『地方消滅』の著者であり、日本創世会議座長でもある増田寛也氏にインタビュー。地方創生のため、今の日本でできることとは?

この問題提起が難しいところにあるのは、コンサルティングの現場でも同じ現象が観察されます。現場の問題は現場担当者が一番詳しく知っているとするか、現場の問題解決策の発見は、第三者の冷静な分析によって明らかとできるか、あえて、極論的に分かりやすくいうと、この2分法で語ることができると思います。

しかしこれは、ないものねだりにすぎないのかもしれません。

周りと同調しない、昔的には「付和雷同」、現代風には「KY(空気読まない)」な奴が、組織のリスクに最も敏感なのかもしれません。大勢の人が皆気が付く前に、危険を察知できるには、大勢とは異なる成り立ちのセンサを有しているが故ではないでしょうか。感性が同じでないと組織内で浮く可能性大ですから。

一方で、組織の枠から外れたアウトローが発した危険信号は、組織の大勢にとって、耳を貸すに値しないノイズと受け取られがちです。つまり、説得力に欠けてしまうのです。それは、その危険信号を発信している人の信用力がその組織内に限っては、比較的低い場合が多いからです。皆から信用があれば、もっと組織内で重要なポジションに就いていると考えるのが一般的だからです。

まあ、私は、自分がコンサルタントという永遠の外部者の立場を良しとして仕事をしている者として、「三者」肯定論者です。

耳に心地よいオウム返しより、耳に痛い危険信号が得意です。^^)

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