40代からのメガネ選びで思ったこと
ご多分に漏れず、とうとう遠近両用メガネを着用するになりました。あまり物欲がないため、久しぶりの高額消費です。貴重な顧客体験をここに記録しておきたいと思います。
最近、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭 生まれの世代)の消費行動の特徴として、モノよりコト消費、ミニマリストの増大、シェア志向、健康志向などが挙げられています。
でも、それって世代の特徴というより、時代の特徴という方が適切なような気がします。がっつり、氷河期世代(1970年から1983年)に当てはまる私ですが、ミレニアル世代との共通項として、
- モノ消費よりコト消費(ミニマリスト)
- Webの影響力が大きい
- 共感で購入・拡散
- 健康志向
- 副業やスキルアップに意欲的(これは転職回数と自分磨きへの投資偏重から同類項化)
等は、同じ消費行動を採っていると自己分析しています。
共通規格の大量生産・大量消費で、平均コストを大きく下げて、供給過多に対応していた時代ではなくなりました。世代ではなく、時代が消費者をそうさせるのだと思います。
今の人には、バナナやメロン、牛肉・オレンジ、桃缶(桃の缶詰)などは、なかなか口にすることはなかった、といってもまるで話が通じないように、飽食とかモノが満ち溢れているこの時代に、皆が一斉に飲み込まれていると思います。各時代には異世代が必ず同居しているものなので。
経済分析には、そうしたミレニアル世代に代表されるような、消費性向がとても小さくなったことが日本経済の斜陽がさす原因であると断じているものもありますが、私はそう受け止めていません。
消費者が必ず喜んでお金を出して価値を費消する商品というものは、どこに行っても、どの時代でも必ず存在するものです。顧客が欲しいものを適時・適切に提供できているか、という一点に着目すると、どういう形であれ、顧客が望むものを的確に判断できる企業だけが売上高を落とさずに済む、という原理原則には強い力が働いていると思います。
これが今回の実際の個人的消費活動を振り返っての感想です。
どんな顧客体験が待ち受けていたか? まずは眼科にて
まず、定期健康診断で引っかかって、眼科検診に行きました。いろいろと加齢や生活習慣の要因から、目の健康をずいぶん損なっていました。現在も治療中ですが、それに合わせて、目への負担軽減のために、メガネを作り直すことになりました。
なにせ、こちとら、一日平均のVDI作業時間は、Netflix や Amazon Prime を加えれば、余裕で16時間を超えています。目の健康に対する負担は相当なもので、かなりのダメージがありました。今思えば、様々な体調不良も、眼精疲労からくる症状がピタリと当てはまります。
大学受験にいそしんだ10代後半以降、30年近く目薬を全く使っていなかったので、いかにそれまで目を酷使していたか、失って初めて知る健康のありがたさでした。
ここで、医療サービスから消費者は選択することになることを強調しておきます。お医者様も患者から選ばれる時代になりました。地元のなじみの眼科に最初にかかったのですが、最初から躓きました。診察にあたってくれた青年医師との間に、きちんとした会話が成立しないのです。
その先生は大学病院から隔週で診察にくるお医者様で、おそらく医師としてはとても優秀なのだと思います。しかし、腕が立つだけではだめで、臨床医なのだから、きちんと患者さんと会話ができて、問診や、処方に対する丁寧な説明ができる会話力も必要だと思います。
医療者が専門の医療技術以外で、チームの運営方法や対話法など「ノンテクニカルスキル(非専門技術)」を学ぶ動きが広がっている。医師を中心とする医療界は他業種に比べると上下関係が強い傾向があり、若手や多職種が異論を唱えにくいこともある。だが在宅医療など医療界の枠を超えた連携が求められる中、研修を受けてチーム医療を高めようとしている。
2020/1/5|日本経済新聞|電子版| チーム運営、医師も学ぶ 在宅普及で多職種と協働
チーム内ですら、別途「ノンテクニカルスキル」の講習が必要ならば、一般企業にとって顧客にあたる患者とのコミュニケーションにおいては、何をか言わんや、です。もっと訓練を積んでおく必要があると思います。
患者になって初めて、専門外のことは、専門家の意見や判断がこんなにも大事なものだということに気づかされました。寿命がくるまでの大切な視力の保存について、何の説明もないし、メガネを作り直したいと申し出ると、今までやった視力検査をもう一度やり直す必要がある、今日の検査結果は教えられない、とくると、病院も変えたくなるのも自然ではないでしょうか。
人生初めて、セカンドオピニオンで別の眼科を尋ねました。そこでは、何も言わなくても視力検査の結果は書類にして教えて頂けましたし、処方についても丁寧に診断結果を解説してくれたうえで、治療方針の理由を素人にも分かりやすく教えてくれました。
こうして比較することで、専門家の言動というのは、相手(素人)にはとても大きな影響力があることを実感できました。そして、比較・批評の大切さも再認識しました。結果的には、同じ処方だったのですが、説明の有る無しでは、処方への納得感と、これからお世話になる安心感が絶対的に異なってきます。
問診の大切さは、下記NHKの番組でも、取り上げられていました。
プロフェッショナル 仕事の流儀▽腰痛治療いまだ進化せり腰痛専門医・西良浩一 2019年6月25日
どんな顧客体験が待ち受けていたか? 次はメガネ店にて
8年間、3世代にわたってメガネづくりをお任せしてきた吉祥寺にある、とある大手に眼鏡処方箋を持参していきました。店員さんにすぐに相談して遠近両用メガネと中近両用メガネの2つ作ることをお願いしました。
スマホからアプリをダウンロードして、会員登録をしてくださいというので、いそいそと登録作業をすませ、メガネを選び、フィッティングも終えました。最後の最後にいざお会計という段になって、
「すみません、当店には、中近両用40%タイプは置いていないんです。20%ならご用意できます。接客担当者が処方箋の記述を見落としていたようです。」
最初に言えよ、という感じです。初めての遠近対応なので、処方箋通りメガネを作りたいです。よくネット書き込みで接客水準の不満がつらつらとあるのを、話半分で目にしていましたが、まさか自分が実体験するとは思いもよりませんでした。
もちろん、これまでなじみだった眼科もこの眼鏡店も名前をここで晒すつもりはさらさらありません。
素敵な顧客体験 それはオグラ眼鏡店 コピス吉祥寺店にて
Surface や iPhone はログインが顔認証なので、メガネのデザインを変えたくなかったからこそ、これまでなじみのお店にいって、ほぼ同じデザインのメガネを選んだのに、台無しでした。そこで、電車内の広告で前々から気になっていた、オグラ眼鏡店に速攻で駆け込みました。
あの宣伝文句は、プロフェッショナリズムを感じさせてくれます。
まあ、結果として、メガネのデザインを少々変えたくらいでは、顔認証が揺らぐことはなかったのですが、、
遠近両用と中近両用の2つを作りたいこと、TPOによって使い分けたいこと、今のデザインとあまり変わらないこと、VDI作業用としての中近両用にはブルーカット機能を付けること、諸々の要望を聞いてくれたうえで、おすすめのメーカーとレンズの加工法を決めました。
999.9(フォーナイン) S-126T
折り畳み可能なメガネケース 丁度、二つ使いの予定なので、携帯に便利
久しぶりの高額お買い物は現時点で大満足
担当の店員さんにお断りして、お店の様子を撮影 (入口)
担当の店員さんにお断りして、お店の様子を撮影 (店内)
普段使いの遠近両用はネイビー、パソコン作業用の中近両用はシルバーの色違い。久しぶりに消費が楽しいことを思い出しました。
多分、モノ消費⇔コト消費 という二項対立な構造ではなくて、モノ消費にコト消費を幾重まで重ね書きできるかが勝負なんだろうな、と思いました。
量子ゲート方式 か、量子アニーリング(量子焼きなまし法)か、いずれが量子コンピュータ技術のデファクトスタンダードになるかわかりませんが、この「重ね書き」というメタ情報技術がこれから一層重要になるんだな、と感じさせてくれる消費体験となりました。
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