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ものづくり技術標準化 工場や設備、相互に接続しやすく 30社がコンソーシアム(1)

経営管理会計トピック テクノロジー
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■ インダストリー4.0の向こうを張る動きがようやく日本でも!

経営管理会計トピック

ようやく、日本でも「インダストリー4.0」「インダストリアル・インターネット」と同様の取り組みが始動しつつあります。しかしながら少々、日本独自の味付けがしてあるようです。

関連過去記事(インダストリー4.0三部作):
⇒「(ビジネスTODAY)「製造業革命」日本に焦り IoT活用、企業間連携で出遅れ ドイツ、国挙げ規格作り(1)
⇒「(ビジネスTODAY)「製造業革命」日本に焦り IoT活用、企業間連携で出遅れ ドイツ、国挙げ規格作り(2)
⇒「(ビジネスTODAY)「製造業革命」日本に焦り IoT活用、企業間連携で出遅れ ドイツ、国挙げ規格作り(3)

2015/6/8|日本経済新聞|朝刊 ものづくり技術標準化 工場や設備、相互に接続しやすく 30社がコンソーシアム

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

「三菱電機やIHI、川崎重工業、富士通など国内の有力企業30社以上は近く、次世代のものづくり技術の標準化を目指すコンソーシアムを設立する。情報通信技術(ICT)を利用して工場間や設備同士をつなぐ規格を標準化し、相互に接続しやすくする。国際標準化機構(ISO)にも提案し、国際規格を目指す。」

 

■ IoTに和風の味付け -「緩やかな標準」

さらに、新聞記事からの抜粋になりますが、

「コンソーシアム「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ」は、18日に発足する。生産技術のインターフェースの標準化を進め、異なる企業の設備をスムーズに接続できるようにする。国際規格にすることで、途上国への生産設備の輸出も促進する。
作業員と製造設備・情報システム間の情報共有や、ビッグデータを活用した製造設備の保全などに必要な技術の標準化を検討する。法政大学の西岡靖之教授を中心に、具体的な項目について議論を進める。」
積極的にものづくりを変革していくというよりは、それぞれの企業の独自製品やシステムソリューション力をそのまま生かして、各自で営業努力やイノベーションを行ってください、通信プロトコルやメソッドは共通化しておきますから、そういう土俵の上で自由にやってください、という姿勢が見えてきます。

ちなみに、コンソーシアム「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ」のホームページはこちらです。

⇒「Industrial Vale Chain Initiative つながる!ものづくり

上記ホームページより、「つながる工場」を実現するための連携プラットフォームの要件、をご紹介します。

(1)現場・現物・現実ベースのICT
過度なデジタル化、ICT化を避ける。これにより、技術流出防止、人やモノの移動による経済効果、職人技能や暗黙知の醸成を図る。

(2)オープン&クローズ戦略の具現化
競争領域である生産ライン内部の製造ノウハウは隠ぺいし、製造プロセスのブラックボックス化を可能とする。

(3)フェアでセキュアな連携の外部保証
試作図面や量産図面の改変、製造方法や加工条件の決定など、製造プロセス上の知的財産の部分について、その権利と責任の部分を明確にする。

(4)グローバル対応と国際取引に対する支援
グローバル化、ボーダレスな取引環境に対応し、連携プラットフォームの参加企業の国や地域は問わない。製造プロセス連携が国境を越えて実現した場合に発生する為替の問題、通関の問題、知財や法務の問題などに対する取引企業の事務負担を軽減し支援する。

どう読んでも、積極的につながろうという姿勢が見えてきません。ほどほどにつながるから安心して参加してください、という匂いがしてきます。

 

■ 法政大学デザイン工学部教授・西岡靖之氏インタビュー

今度は、日刊新聞ニュースイッチより。

⇒「日本発の“つながる工場”―法政大学デザイン工学部教授・西岡靖之氏

―インダストリー4・0をどう評価しますか。
「内容より、それを提唱する体制があり、国全体の成長を見据えているのが評価できる。日本は個々の企業が閉じており企業・業界をまたいだ動きがない。ドイツは企業が協調してルール作りをするのがうまい」

―日本はインダストリー4・0とどう向き合うべきでしょうか。
「一番怖いのはモノづくりはこうあるべしと決められ、日本のやり方は国際標準でないとされることだ。国際標準化をめぐり競争せず、協調しても良い。インダストリー4・0は米国のITによる新潮流への対抗軸と聞く。米国のモノづくりはサービスなどIT寄りになる。ドイツと日本はモノづくり現場がIT武装しようという立場で共同戦線は可能だ」

(筆者コメント)
ドイツ、米国と三つ巴になるのか、ドイツと共同戦線を張るのか。その場合ならば、積極的に「インダストリー4.0」に参加するのが素直な意見だと思いますが。

―インダストリー4・0とつながる工場の共通点は何ですか。
「モノのインターネット(IoT)でモノづくりの新たな革新を模索するところだ。自律分散的な仕組みをベースに、工場を超えた連携をはかる。つながるための標準化がカギと認識しているところも同じだ」

―異なる点は。
「つながる工場は現場のニーズを起点に、人がカイゼンで常に成長し、進化できる仕組みがある。工場同士をつなげる標準化、共通の仕組みを厳密な標準と“ゆるやかな標準”に分けていることも違う」

―ゆるやかな標準とは。
「これまでの標準は、レベルを合わせ、やり方を共通化することに主眼を置いた厳密なものだった。ゆるやかな標準は、個別の創意工夫や競争優位を許容する。作り込み品質の高さなど、一番大事なコア技術はブラックボックス化して隠す。各社が参照できるリファレンス(参考)モデルの具体化に向け、IVIを6月をめどに組織化したい」

(筆者コメント)
何回読んでも、「ゆるやかな標準」を標榜する、と宣言しているものの、「自社に不利にならないように、独自路線を継続しつつ、何か得になりそうなら、その場合だけ他社とつながろう」という姿勢を貫くようです。これは、根本的につながること、企業独自の差異は捨てること(大同小異ということ)、参加企業の強い所を持ち寄って、全体としての底力のレベルを上げようとするドイツのやり方と正反対と感じます。

すみませんね。今回は繰り返しくどくどと同じ感想を述べてしまって。

 

■ 一体誰とどうやって競争しているのか? 意識していますか?

「IVIによるリファレンスモデルを開発して提供します」というのがどうにも歯がゆくて。。。

これは、企業戦略上のプロポジションのひとつ、「オペレーショナル・エクセレンス」を捨てて、「カスタマー・インテマシー」か「プロダクト・リーダーシップ」で競争優位を維持しようという企業戦略上の選択の問題になります。

または、一企業の枠を超えて、産業やクラスターとしての連携の中で積極的に「オペレーショナル・エクセレンス」を築き上げて、その他のグループを寄せ付けない、という戦略といういう風に解釈しています。この場合、通信インフラ、業務アプリケーション開発、高性能な情報端末の提供、センシングや高精細化の技術提供など、参加する企業はそれぞれの強みを持ち寄って、グループ全体としてのオペレーション優位性を保持しようとするものです。

いささか、日本企業の動きは、中途半端というか、米独がやっているから、遅まきながら取り組み姿勢だけ見せておきます、という感じが強いようです。いったい誰に言い訳しているのでしょうか? 株主? 取引先?

ICTの各種規格作りで負けて、米国に差をつけられたのではないでしょうか? そういえばEV車の急速充電規格の「CHAdeMO(チャデモ)」は、晴れてIEC(国際電気標準会議)にDC充電方式の国際標準として認められましたが、欧米が主導する「Combined Charging System(コンボ)」も含め、4つのDC充電方式がIECで承認されているので、市場で何が最有力となるか、予断を許さない状況が続いています。

「規格」頼みではない、新しいビジネスモデルを創ってやるんだという意気込みが。ドイツの「インダストリー4.0」は別に、規格を作るのが最終目的ではないですよ!

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