Monetary assets(貨幣性資産)
Monetary assets には、Cash, Accounts receivable(売掛金、未収金), loan receivable(貸付金)が含まれます。accounts receivable は、販売時に売上高の反対勘定として認識されて、大体は現金決済によって消滅します。
大体といったのは、貸し倒れに備えて、貸倒引当金(Allowance for doubtful accounts)が設定されたり、現金決済前に実際に貸し倒れてしまい、Bad debt expense(貸倒損失)を用いて費用化・損失処理されることがあるからです。
実際に事後に貸し倒れてしまったら、その金額をもって損失とすればよいのですが、事前に金額を見積もって有事に備える、「allowance method(引当金方式)」を採用する場合、測定(会計処理で金額を決めること)は、「net realizable value(正味実現可能額)」で accounts receivable を評価して、元金額との差額を貸倒引当金として処理します。
net realizable value(NRV) = Gross amount – Estimated uncollectibles
TACテキストでは、この貸倒損失の金額算定方式を次のように整理していました。
- Balance sheet approach
- 残高法
- 見積り回収不能額はこの金額だと直接指定するやり方
- receivables の残高に一定率(貸倒率)を乗じて算出するやり方
- エイジング法(aging):顧客別に支払期日からの経過日数ごとに貸倒率を乗じるやり方
- 残高法
- Income statement approach
- 当期の掛売上高に貸倒率を乗して算出するやり方
では好例ではなく恒例である講師の方の説明の揚げ足取りをこれから行います。^^)
講師の方は、こう説明されました。
「売上高に貸倒率をかけると、引当金がずっと増え続けるのではと勘繰る人がいると思いますが、引当金がぐんと増えることはありません。もし、増えていくように思えるなら、貸倒率を低く設定すれば、引当金が増えることはありません」
?????
多分、こういう説明の方がしっくりくるかもしれません。
「売上債権回転率が毎期一定の場合は、売掛金残高に貸倒率をかけても、売上高に貸倒率をかけても、同じ結果が得られますよ」
例)
売上高:1000
売掛金:200
売上債権回転率:1000÷200=5回転
この時、Balance sheet approach で、売掛金残高の5%を貸倒率と考えれば、
売掛金 200 × 5% = 10 が貸倒引当金となり、
売上債権回転率が5回転で一定と考えれば、
売上高 1000 × 5% ÷ 5(回転)= 10 という同じ結果が得られます。
5%÷5(回転)= 1% という売上高基準の貸倒率を先に計算をしておいて、これを売上高に乗じても、残高法と同じ結果が得られますよ、ということを講師の方は言いたかったんじゃないかと思います。
回転率で除算することで、対売上高貸倒率を先に下げておくことを、「自分が思う感じで低い率を設定すればいい」という乱暴な説明になった真因だとここでは好意的に解釈しておきます。^^)
会計初学者は、B/S残高は恒常的に一定で、P/L勘定はフローなので、どんどん増えていくという思い込みがちであることは存じています。
フローも1年という決算年度で区切りながら数字を見ていくので、対B/S残高の比率でみると、ビジネスロジック上で大きな出来事がなければ、という条件付きながら、そうそう対B/S残高比率が激しく変動することはないんですよね。^^)
日本基準との相違点について
この連載は、講師の揚げ足取りが目的ではなく、筆者の復習のためのものです。この章は単なる備忘録。
JGAAPとUSGAAPの次の違いについては注意しておきます。
貸倒損失処理(Write-off of bad debts)後、幸いにして一部または全部の債権回収ができた場合、write-off の処理の逆仕訳を起こしてから、入金処理を行う。
account | debit | account | credit |
---|---|---|---|
Accounts receivable | 500 | Allowance for doubtful accounts | 500 |
Cash | 500 | Accounts receivable | 500 |
JGAAPの場合、この500は「特別利益」と認識する
account | debit | account | credit |
---|---|---|---|
現金 | 500 | 償却債権取立益(特別利益) | 500 |
もうひとつ。Sales discounts(売上割引)は、期限前の現金決済の場合、顧客におまけしてあげるので、おまけ分だけ売り上げを取り消してあげる。
account | debit | account | credit |
---|---|---|---|
Cash | 98 | Accounts receivable | 100 |
Sales discounts | 2 |
同じく、日本基準(JGAAP)では、営業外費用として処理する。
Liabilities(負債)
負債の定義:将来の経済的犠牲の現在時点における義務。
a present obligation of future economic sacrifice
負債の表示上の分類は、Normal operating cycle rule(正常営業循環期間)と one-year rule(一年基準)に基づく、current liabilities(流動負債)と non-current(long-term) liabilities(非流動負債・固定負債)。
この表示の所で問題になるのは、one-year rule に基づいて、支払期日が翌期になった時に、long-term から current に振り返るところ。
仮に、one-year rule であっても、借り換え予定の負債は固定負債のままにする。その要件は次の2つ。
- The enterprise intends to refinance the debt on a long-term basis.
- The intent is supported by the ability to refinance.
Contingencies(偶発事象)
将来において利益・損失が発生する可能性があるものの、現時点ではその発生が不確定な事象を contingencies といいます。
発生の可能性から、3つに区分されます。
- probable:発生確率が高い(likely)
- reasonably possible:両者の間(消極的定義)
- Remote:発生確率がわずかである(slight)
テキストにあるより、自分の頭の中の整理表のほうが記憶しやすい。自分には。
- Loss contingencies(偶発損失):conservatism(保守主義)の要請からできるだけ開示
- Probable and can estimate: Accrual(計上)
- Probable and can’t estimate: Notes(注記)
- Reasonable possible: Notes(注記)
- Remote and Guarantee: Notes(注記)
- Remote and no Guarantee: None
- Gain contingencies(偶発利得): conservatism(保守主義)の要請からできるだけ未計上
- Probable : Notes(注記)
- Reasonable possible: Notes(注記)
- Remote: None
ポイントは、
① 保守主義の要請により、利得より損失の方の開示を積極的に行う(常に1段上の開示)
② 金額が見積れれば、Probable loss は計上する
③ 債務保証の場合は Remote であっても注記する
今日はここまで。^^)
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