戦略や計画を策定する意味
戦略や計画を策定することの企業における意味をまず考えます。結果として、素晴らしい戦略や計画を打ち立てることができることは、戦略や計画策定の1つの目的でありゴールとなり得るかもしれません。
しかし、もっと大切なことがあります。それは、planning というプロセスの中で、計画づくりに参画した関係者が、自社の現在地点と将来のあるべき地点、そしてあるべき地点に向かうには何が必要で、何をすべきかを知ることかもしれません。
USCMA受験テキストには、予算策定というものは、time-consuming で costly だ、実行する前に、cost-benefit analysis を必ずやってね、という注記書きまであるくらいです。
とにかく、企業の objectives を明確にし、その実現のために採るべき方策を決定し、方策の実施結果を定量評価する基準を採択し、employees の士気を上げるとともに、一つの目標に向かって力を合わせる態勢づくりに成功するために戦略や計画は策定されるというのが結論になっていました(もちろん、総論では筆者もそれに大賛成です)。
戦略計画の目的
戦略計画の目的は、企業努力を次の3つの達成に向かわせることを達成するところにあります。
The purpose of strategic planning
- superior performance 他社に比べて高い業績を達成する
- competitive advantage 他社に比べて顧客により多くの価値を提供する
- maximized shareholder value 株主に対して高い株主価値を実現する
上記は上から順に実現されるものとする因果関係、ストーリー関係にあります。
ここでは、株主価値について補足します。テキストにも、高い利益を上げること ≠ 株主価値を高めること とはっきり書いてあります。難しい次の2つの両立をしなさい、と言及してあります。それは、
- short-term : high profitability 短期の高い収益性
- long-term : profit growth 長期の利益成長
これは、CMA PART2 Strategic Financial Management A Financial Statement Analysis でも取り上げられるのですが、
- Sustainable Growth Rate = Dividend Payout Ratio × Return on Common Equity
という計算式がピタッとイメージに合いますね。そういう意味では、TAC講師の方が、USCMAは、PART1とPART2は一気呵成に受験した方が良い、と力説されていたことが改めて納得できますね。こういう風に構造的な理解が進みますから。
計画の種類 Type of Plans
受験物なので、一応テキストに分類を任せてみると、少々入り組んでいますが、
Type of Plans
- Strategic Plans (Log-Term Plans)
- operational というより directional
- how it will get there でなく、where it wants to go
- capacity と capital resources をレビューする
- capital budgeting と long-term business planning から構成される
- Intermediate Plans (Tactical plans)
- designed to implement specific parts of the strategic plan
- 1 to 5 years
- Master Budget (Short-Term Plans)
- Operational plans
- Operational goals
- Budgeted amounts
これ意外に特徴を知っておく種類分けのものは次の通り。
- capital expenditures budget - 長期で立てて各期で調整
- single-purpose plans - プロジェクト予算
- standing-purpose plans - 複数の要素からなる
- contingency plans - 複数シナリオごとに用意
戦略計画プロセス The Strategic Planning Process
まあ、講師の方に「ここ丸暗記です!」と言われたので、そうする以外はないですね。
Five steps of the Strategic Planning Process
- Defining mission, vision, values, and goals
- Analyzing external competitive environment
- Analyzing internal operating environment
- Formulating and selecting strategies
- Developing and implementing the chosen strategies
Defining the Company’s Mission, Vision, Values, and Goals
まずは、ミッション・ステートメントを作成しましょう、というやつです。
細かいニュアンスの違いと留意点は次の通り。
- Mission あくまで顧客目線でどういう企業でありたいか?
- reason to be
- what it does
- what is
- Vision 将来どういう企業(状態)でありたいか?
- a desired future state
- what it want to achieve
- Values
- the foundation of its organizational culture
- Goals 具体的で達成度が分かる指標で表現されていること
- a precise and measurable future state
これを書きだすと文字数完全オーバーになるのでできるだけ簡明に、、、
日本語でも「目的」と「目標」のニュアンスの違いが論者によってバラバラです。このテキストでは、次のように解説してあります。
Objectives are the series of steps taken to attain the goal.
ゴール(最終目的)の達成のために、その過程にある行動の一つ一つの達成目標を「目標(objectives)」と定義。目標をひとつひとつクリアしていけば、最終ゴールに辿り着ける。なお、目標は達成度を評価できるように、可能な限り、定量的(場合によっては定性的)に評価できる指標でなければならない。
もうひとつ、言葉遣いで注意すべきなのが、「効率的(efficiency)」と「効果的(effectiveness)」の違い。
Efficiency と Effectiveness の違い
- Efficiency
- the attempt to fulfill the goals and objectives using the least input
- Effectiveness
- the actual accomplishment of goals
この2つは、内部統制 Internal Controls でもたびたび登場する概念で、並べて標記されます。似て非なる言葉ですが、連ねていろんなものの性格付けに用いられるフレーズです。
efficiency は、効率的。必要最小限度の努力で結果を出すことです。
effectiveness は、実際に結果を引き出すことです。
内部統制の講義をして頂いた講師の方が大変興味深い注釈をつけていらっしゃいました。
「efficiency は、ムダがないこと、effectiveness は、効き目があること」
この効率的(能率)と効果的(有効性)の違いを管理会計目線で解説してある教科書は日本でも存在します。下記、櫻井通晴著「管理会計 第七版」P49 もご参照ください。
さて、日頃、常々伝えたいと思っていたポイントを書き始めると、やはり一回の投稿で、戦略計画の解説が終わりませんでした。^^)
戦略計画プロセスの第2ステップ以降は次に回すことにします。
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