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■ 企業統治は外部からの経営監視が中心概念であるべきなのか?

経営管理会計トピック

誰かに見られている。そのことが悪事を防ぎ、やる気を促す。そういう心理状態は、アドラー心理学的には、「他者評価のために生きる」ことで、自己の承認欲求を満たすための行動原理ということで、真に幸せな生き方ではない、、、失礼しました。今回はきちんとした株式会社の機関設計のお話でした。(^^;)

アドラーの真意には反しますが、英米流の企業統治とは、「所有者」たる「株主」が「経営者」たる「取締役」を監視することで、経営者の行動に規律を生み、企業統治が成る、という考えです。さらに、経営者が人事や企業戦略の大きな方向性を定め、実際に実行を担うのは「執行役」ということで、ここに、「所有」「経営」「執行」の3分割での企業統治のフレームワークが成り立ちます。

まあ、創業者がオーナー意識を持つことで、中長期的な視点で、しかも意思決定機関での主導的な立場をも果たす、その意味では、「所有」「経営」「執行」が未分離の企業の成長性が高い、との論文もあるのですが。だって、ファミリービジネスの方が、内部統制コストとリスクは小さくなるというのも頷けるでしょ!

とにかく、社外から経営者を監視する、経営者は社外のステークホルダーに経営実態を報告する義務がある。こうした考え方をエージェンシー理論といい、その報告のためのツールが制度会計。とくに、会計周りを中心とした説明責任のことを、「アカウンタビリティー」と呼んだりします。それゆえ、経営管理・管理会計を専門とする筆者が、会社機関に関する投稿を多く行うのも理由があるのだとお認め頂けるでしょうか。

 

■ 企業統治は外部からの経営監視が中心概念であるべきなのか?

東京証券取引所が2015年6月1日から上場企業に企業統治指針の適用を始めてから約1年が経ちました。この1年の進展をちょっと振り返る記事がありましたのでご紹介します。

2016/4/25付 |日本経済新聞|朝刊 企業統治、株主目線で磨く 指針導入1年 社外取締役6000人超す 全体の2割、監視強化

「企業統治指針の導入から約1年が経過し、企業側の体制整備が加速してきた。株主の目線で経営に参加する社外取締役は6000人を突破し、社内も含めた取締役全体の約2割に達する。持ち合い株式を売却したり、買収防衛策を取りやめたりする企業も増えている。こうした体制面の改善が進むなか、実際に企業統治を強化するための運用の巧拙が一段と重要になってきている。」

(注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます

(下記は、同記事添付の社外取締役が複数いる会社の構成比率を転載)

20160525_社外取締役の複数いる上場企業が過半_日本経済新聞朝刊

企業統治指針は、73項目の順守・説明要求事項からなり、
① 「経営の監督役」として独立性の高い社外取締役の複数選任
② 持ち合い株の保有や買収防衛策を続けるには「合理的な理由」の説明

も求めています。今回の記事はこの2つの焦点が当たっています。

「東証のデータによると24日時点で上場企業の社外取締役は延べ約6200人。15年7月から約700人増えた。社内も含めると取締役は同2万8000人で、社外取締役は全体の2割を占める。
 東証1部上場の2、3月期決算企業のうち現時点で社外取締役がゼロなのは37社にとどまる。このうち警備大手のCSPやクリナップなど29社は今年の株主総会に社外取締役の採用議案を諮る予定で、社外取締役はさらに増えるのが確実だ。」

ただし、急に言われても、社外取締役のなり手を探すのには骨が折れる状態。すぐに社外取締役が務まる人材が簡単に転がっている訳でもなく、成り手探しに苦労しているとか、いっそのこと、最新の機関設計である「監査委員会等設置会社」への移行に腐心して、社外役員の必要員数を抑制したりと各社各様の対応に苦慮しているのがこの1年でした。

● 監査委員会等設置会社への移行について
⇒「「監査等委」設置広がる 上場600社、企業統治強化 - 監査等委員会設置会社への移行メリットとは?

● 社外取締役の適任者探しについて
⇒「社外取締役の有力供給源 大手法律事務所、就任にためらい 利益相反を懸念/本業に不利益も
⇒「(真相深層)社外役員、適材奪い合い 企業統治改革は1年にして成らず 株持ち合いも根強く
⇒「役員の賠償、会社も負担 政府、指針で容認 社外から迎えやすく
⇒「社外役員の兼務制限 日立、4社まで 外部の知見、自社に集中

● 企業統治指針への対応の苦労について
⇒「「指名委」設置4倍 475社 企業統治意識高まり14年比で 人事透明に、運用カギ
⇒「企業統治指針「全項目を順守」1割強 適用から半年 報告書「表現横並び」課題
⇒「(経済教室)企業統治何が必要か(上) 経営層の相互けん制カギ 金融・会計知識共有を 大杉謙一 中央大学教授

「ただ、社外監査役を社外取締役に横滑りさせたり、大口取引先などから社外取締役を招くなど形式面だけを整えるようなケースも見受けられる。この背景には社外取締役の役割をきちんと担える「経営のプロ」が少ないという事情もある。」

というのは前述のとおり。

(大和総研の横山淳氏)
「経営判断を下すまでに社外取締役と緊密な議論を重ねているかどうかなど運用の中身が重要になっている」

実質的に、企業統治の強化策の実効性を上げるには、会社側が事業の実態や課題について社外取締役にていねいに説明する一方、社外取締役も十分に準備をして取締役会に臨むといった工夫が必要になると記事ではまとめられていました。

 

■ 持ち合い株売却 資金を有効活用

続いて記事では、「持ち合い株」「政策保有目的株式」について言及されています。

「16年3月期に上場企業が計上した有価証券売却益は合計1兆2000億円超と、9年ぶりの高水準に膨らんだ。持ち合い株などの売却が進んだためだ。」

(下記は、同記事添付の2016年3月期末の上場企業の有価証券売却益の推移グラフを転載)

20160525_上場企業の有価証券売却益_日本経済新聞朝刊

記事では、
・NTTデータ:リクルートホールディングス株などを売却、16年3月期に152億円の売却益を計上
・大日本印刷:保有株の売却を進めた。「資本効率を高める」のが狙い
・王子ホールディングス:前期に持ち合い株を中心に手放して161億円の売却益を計上

と事例が紹介されていますが、

「株式の持ち合いは徐々に減ってきてはいるものの、企業間だけでもまだ20兆円規模残っているという。取引関係の維持などのメリットがあるとされる半面、持ち合い関係にある企業同士は互いに相手の経営には口を出さないのが普通なので企業統治の空洞化を招くとの批判が根強い。」

まだ規模感的には20兆円の残高があり、経営規律への不安を述べています。取引先との円滑な取引等、これまでの商慣習をすべて否定するわけにはいかないので、持ち合い株式については、実質的に取引内容を考慮し、時の経営陣の経営方針に耳を傾け、内容を見ていくしかないと考えています。

ただ、会計的インパクトで言うと、持ち合い株式の評価損益は、当期純利益の下の「その他の包括利益」にある「その他有価証券評価差額金」で時価評価されます。昔の感覚で簿価のまま含み損・含み益を持ったまま決算を超えることはできません。株式市況の変動が、自社の貸借対照表の純資産の部の評価額の大小にヒットしますし、この評価差額がマイナスの場合は、配当可能額から差し引かれます。

筆者としては、持ち合い株式について、
① 保有経緯と目的を経営戦略から質的に評価する
② 包括利益と配当可能額への定量的なインパクトを評価する

という2つの視点で、経営者が十分な説明を行えば、保有自体に目くじら立てる問題ではないとする立場です。

 

■ 買収防衛策を廃止 経営に規律

記事では続いて、買収防衛策について言及しています。

「敵対的買収を阻止する狙いの「買収防衛策」を取りやめる企業も増えている。27社が16年に入って買収防衛策の廃止を発表した。昨年1年間の24社をすでに上回り、6年ぶりの高水準だ。」

(下記は、同記事添付の買収防衛策の導入企業数の推移グラフを転載)

20160525_買収防衛策の導入企業_日本経済新聞朝刊

買収防衛策では大量の株を取得する企業や投資家が現れた場合に、他の親密な株主に新株予約権を与えるといった手法で買収を妨害することを意図したものが多くあります。2000年代に米スティール・パートナーズなど「物言う株主」が台頭し、企業と対決する姿勢を強めた結果、買収防衛策の導入が相次ぎました。しかし、買収防衛策があると業績や株価が低迷したままでも買収のリスクにさらされないため、「経営の規律がゆるむ」との批判が外国人投資家などから根強くある、と記事では説明されています。

でもそれは、アクティビストの方から見た株式保有のあり方・株主政策のお話し。そういう買収防衛策が嫌なら、他の企業へ投資すればいいじゃないですか。投資先企業の選択の自由は、投資家側にあります。あえて、投資先として魅力ある企業が敵対的買収に備える株式施策を持っていて、純投資目的なら、そんなに邪魔になるものでしょうか。経営参加権(議決権)を活用して、自己に有利なように、会社が抱えるキャッシュを短期的に引き出すのを簡単にしたいだけでは。

種類株式を発行して、株主総会にて現経営陣の経営権が絶対に揺るがない、フェイスブック、アルファベット(グーグル)、国際石油開発帝石などに投資している普通株主は、現経営陣の揺るがない経営権の元でも十分に投資の実利があると思って投資するわけです。逆に、買収防衛策があることによって、株価が安値で放置されていれば、必ず調達資本コストの方にはね返り、自動的に経営者に買収貿易策の撤廃への動機付けになるはずです。ここは新自由主義的な発想で(達観して)見ていますが、こういう見方はいかがでしょう?

(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

(参考投稿)
⇒「(日本株番付)政策保有株比率が高い企業 建設や倉庫が上位に
⇒「上場企業の株売却益、1兆円超す 4~12月2.8倍 選択と集中加速 持ち合い解消も背景に -ここから新日鐵住金の会社防衛策までを解く!
⇒「(大磯小磯)持ち合いの是非 -コーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコード再び

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企業統治、株主目線で磨く 指針導入1年 社外取締役6000人超す 全体の2割、監視強化 - 株式持ち合いや買収防衛策についても説明http://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/1-e1427893099240.jpghttp://keieikanrikaikei.com/wp-content/uploads/2015/04/経営管理会計トピック1-150x150.jpg小林 友昭会計で経営を読む社外取締役,企業統治指針,種類株式,政策保有株式,持ち合い株,アクティビスト,包括利益,ファミリービジネス,内部統制,買収防衛策,監査委員会等設置会社,その他有価証券評価差額金,配当可能額■ 企業統治は外部からの経営監視が中心概念であるべきなのか? 誰かに見られている。そのことが悪事を防ぎ、やる気を促す。そういう心理状態は、アドラー心理学的には、「他者評価のために生きる」ことで、自己の承認欲求を満たすための行動原理ということで、真に幸せな生き方ではない、、、失礼しました。今回はきちんとした株式会社の機関設計のお話でした。(^^;) アドラーの真意には反しますが、英米流の企業統治とは、「所有者」たる「株主」が「経営者」たる「取締役」を監視することで、経営者の行動に規律を生み、企業統治が成る、という考えです。さらに、経営者が人事や企業戦略の大きな方向性を定め、実際に実行を担うのは「執行役」ということで、ここに、「所有」「経営」「執行」の3分割での企業統治のフレームワークが成り立ちます。 まあ、創業者がオーナー意識を持つことで、中長期的な視点で、しかも意思決定機関での主導的な立場をも果たす、その意味では、「所有」「経営」「執行」が未分離の企業の成長性が高い、との論文もあるのですが。だって、ファミリービジネスの方が、内部統制コストとリスクは小さくなるというのも頷けるでしょ! とにかく、社外から経営者を監視する、経営者は社外のステークホルダーに経営実態を報告する義務がある。こうした考え方をエージェンシー理論といい、その報告のためのツールが制度会計。とくに、会計周りを中心とした説明責任のことを、「アカウンタビリティー」と呼んだりします。それゆえ、経営管理・管理会計を専門とする筆者が、会社機関に関する投稿を多く行うのも理由があるのだとお認め頂けるでしょうか。   ■ 企業統治は外部からの経営監視が中心概念であるべきなのか? 東京証券取引所が2015年6月1日から上場企業に企業統治指針の適用を始めてから約1年が経ちました。この1年の進展をちょっと振り返る記事がありましたのでご紹介します。 2016/4/25付 |日本経済新聞|朝刊 企業統治、株主目線で磨く 指針導入1年 社外取締役6000人超す 全体の2割、監視強化 「企業統治指針の導入から約1年が経過し、企業側の体制整備が加速してきた。株主の目線で経営に参加する社外取締役は6000人を突破し、社内も含めた取締役全体の約2割に達する。持ち合い株式を売却したり、買収防衛策を取りやめたりする企業も増えている。こうした体制面の改善が進むなか、実際に企業統治を強化するための運用の巧拙が一段と重要になってきている。」 (注)日本経済新聞の記事へ直接リンクを貼ることは同社が禁じています。お手数ですが、一旦上記リンクで同社TOPページに飛んでいただき、上記リード文を検索すればお目当ての記事までたどり着くことができます (下記は、同記事添付の社外取締役が複数いる会社の構成比率を転載) 企業統治指針は、73項目の順守・説明要求事項からなり、 ① 「経営の監督役」として独立性の高い社外取締役の複数選任 ② 持ち合い株の保有や買収防衛策を続けるには「合理的な理由」の説明 も求めています。今回の記事はこの2つの焦点が当たっています。 「東証のデータによると24日時点で上場企業の社外取締役は延べ約6200人。15年7月から約700人増えた。社内も含めると取締役は同2万8000人で、社外取締役は全体の2割を占める。  東証1部上場の2、3月期決算企業のうち現時点で社外取締役がゼロなのは37社にとどまる。このうち警備大手のCSPやクリナップなど29社は今年の株主総会に社外取締役の採用議案を諮る予定で、社外取締役はさらに増えるのが確実だ。」 ただし、急に言われても、社外取締役のなり手を探すのには骨が折れる状態。すぐに社外取締役が務まる人材が簡単に転がっている訳でもなく、成り手探しに苦労しているとか、いっそのこと、最新の機関設計である「監査委員会等設置会社」への移行に腐心して、社外役員の必要員数を抑制したりと各社各様の対応に苦慮しているのがこの1年でした。 ● 監査委員会等設置会社への移行について ⇒「「監査等委」設置広がる 上場600社、企業統治強化 - 監査等委員会設置会社への移行メリットとは?」 ● 社外取締役の適任者探しについて ⇒「社外取締役の有力供給源 大手法律事務所、就任にためらい 利益相反を懸念/本業に不利益も」 ⇒「(真相深層)社外役員、適材奪い合い 企業統治改革は1年にして成らず 株持ち合いも根強く」 ⇒「役員の賠償、会社も負担 政府、指針で容認 社外から迎えやすく」 ⇒「社外役員の兼務制限 日立、4社まで 外部の知見、自社に集中」 ● 企業統治指針への対応の苦労について ⇒「「指名委」設置4倍 475社 企業統治意識高まり14年比で 人事透明に、運用カギ」 ⇒「企業統治指針「全項目を順守」1割強 適用から半年 報告書「表現横並び」課題」 ⇒「(経済教室)企業統治何が必要か(上) 経営層の相互けん制カギ 金融・会計知識共有を 大杉謙一 中央大学教授」 「ただ、社外監査役を社外取締役に横滑りさせたり、大口取引先などから社外取締役を招くなど形式面だけを整えるようなケースも見受けられる。この背景には社外取締役の役割をきちんと担える「経営のプロ」が少ないという事情もある。」 というのは前述のとおり。 (大和総研の横山淳氏) 「経営判断を下すまでに社外取締役と緊密な議論を重ねているかどうかなど運用の中身が重要になっている」 実質的に、企業統治の強化策の実効性を上げるには、会社側が事業の実態や課題について社外取締役にていねいに説明する一方、社外取締役も十分に準備をして取締役会に臨むといった工夫が必要になると記事ではまとめられていました。   ■ 持ち合い株売却 資金を有効活用 続いて記事では、「持ち合い株」「政策保有目的株式」について言及されています。 「16年3月期に上場企業が計上した有価証券売却益は合計1兆2000億円超と、9年ぶりの高水準に膨らんだ。持ち合い株などの売却が進んだためだ。」 (下記は、同記事添付の2016年3月期末の上場企業の有価証券売却益の推移グラフを転載) 記事では、 ・NTTデータ:リクルートホールディングス株などを売却、16年3月期に152億円の売却益を計上 ・大日本印刷:保有株の売却を進めた。「資本効率を高める」のが狙い ・王子ホールディングス:前期に持ち合い株を中心に手放して161億円の売却益を計上 と事例が紹介されていますが、 「株式の持ち合いは徐々に減ってきてはいるものの、企業間だけでもまだ20兆円規模残っているという。取引関係の維持などのメリットがあるとされる半面、持ち合い関係にある企業同士は互いに相手の経営には口を出さないのが普通なので企業統治の空洞化を招くとの批判が根強い。」 まだ規模感的には20兆円の残高があり、経営規律への不安を述べています。取引先との円滑な取引等、これまでの商慣習をすべて否定するわけにはいかないので、持ち合い株式については、実質的に取引内容を考慮し、時の経営陣の経営方針に耳を傾け、内容を見ていくしかないと考えています。 ただ、会計的インパクトで言うと、持ち合い株式の評価損益は、当期純利益の下の「その他の包括利益」にある「その他有価証券評価差額金」で時価評価されます。昔の感覚で簿価のまま含み損・含み益を持ったまま決算を超えることはできません。株式市況の変動が、自社の貸借対照表の純資産の部の評価額の大小にヒットしますし、この評価差額がマイナスの場合は、配当可能額から差し引かれます。 筆者としては、持ち合い株式について、 ① 保有経緯と目的を経営戦略から質的に評価する ② 包括利益と配当可能額への定量的なインパクトを評価する という2つの視点で、経営者が十分な説明を行えば、保有自体に目くじら立てる問題ではないとする立場です。   ■ 買収防衛策を廃止 経営に規律 記事では続いて、買収防衛策について言及しています。 「敵対的買収を阻止する狙いの「買収防衛策」を取りやめる企業も増えている。27社が16年に入って買収防衛策の廃止を発表した。昨年1年間の24社をすでに上回り、6年ぶりの高水準だ。」 (下記は、同記事添付の買収防衛策の導入企業数の推移グラフを転載) 買収防衛策では大量の株を取得する企業や投資家が現れた場合に、他の親密な株主に新株予約権を与えるといった手法で買収を妨害することを意図したものが多くあります。2000年代に米スティール・パートナーズなど「物言う株主」が台頭し、企業と対決する姿勢を強めた結果、買収防衛策の導入が相次ぎました。しかし、買収防衛策があると業績や株価が低迷したままでも買収のリスクにさらされないため、「経営の規律がゆるむ」との批判が外国人投資家などから根強くある、と記事では説明されています。 でもそれは、アクティビストの方から見た株式保有のあり方・株主政策のお話し。そういう買収防衛策が嫌なら、他の企業へ投資すればいいじゃないですか。投資先企業の選択の自由は、投資家側にあります。あえて、投資先として魅力ある企業が敵対的買収に備える株式施策を持っていて、純投資目的なら、そんなに邪魔になるものでしょうか。経営参加権(議決権)を活用して、自己に有利なように、会社が抱えるキャッシュを短期的に引き出すのを簡単にしたいだけでは。 種類株式を発行して、株主総会にて現経営陣の経営権が絶対に揺るがない、フェイスブック、アルファベット(グーグル)、国際石油開発帝石などに投資している普通株主は、現経営陣の揺るがない経営権の元でも十分に投資の実利があると思って投資するわけです。逆に、買収防衛策があることによって、株価が安値で放置されていれば、必ず調達資本コストの方にはね返り、自動的に経営者に買収貿易策の撤廃への動機付けになるはずです。ここは新自由主義的な発想で(達観して)見ていますが、こういう見方はいかがでしょう? (注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。 (参考投稿) ⇒「(日本株番付)政策保有株比率が高い企業 建設や倉庫が上位に」 ⇒「上場企業の株売却益、1兆円超す 4~12月2.8倍 選択と集中加速 持ち合い解消も背景に -ここから新日鐵住金の会社防衛策までを解く!」 ⇒「(大磯小磯)持ち合いの是非 -コーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコード再び」現役の経営コンサルタントが管理会計をテーマに情報発信します