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業務プロセスの管理(2)生産性をいかにして最大限に引き出すか

経営管理_アイキャッチ組織管理(入門)
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生産性という概念

企業は、製商品・サービスという多様な成果物を顧客に提供することで利潤を上げることを想定して設立されています。成果物を企業内活動において産出されるだけでなく、成果物が十分な利益をもたらすためには、組織内の分業体制が効率的に運用されている必要があります。

企業が現状備える設備や人員を固定した場合に、有形無形を問わず、産出される成果物をより多くより高品質のものにするためには、企業内で行われる活動の生産性を高いものにしなければなりません。インプットや使えるリソース一単位当たり、より多くの成果物、より高い水準の品質の成果物を作り出す仕事のやり方が生産性が高い仕事のやり方ということになります。

以下では、この問題を、次のような仮説を置いて、少しだけ数学的に問題を解いていきます。

  1. わかりやすくするために、成果物をハードウェアの製品の数という目に見えて、何個とカウントできるものとします
  2. 組織内で分業させるお仕事は、工場のように、目に見える製品を生産するお仕事だけに限定して考えます
  3. 目指すべき高い生産性は、作業時間当たり、より多くの製品を作り出すことであると仮定します
  4. よって、品質問題は、完成品が瑕疵なく出来上がり、検品作業で検査を無事通る状態を満たすことでOKと考えることにします

製造業における工場で、生産管理の現場のごとく、毎日何個の製品を生産することができるか、その数で生産性を推し量る、というものです。間接部門の支援活動は、直接部門で働く人に有形無形の便宜を与えて、間接的に生産ラインでの生産性を向上させることは承知しています。ただし、これから議論するケースにおいては、すべて直接ラインだけで完結した生産現場をイメージしてもらうことにします。

生産性と効率性の定義

ここから、ずんだ餅ときなこ餅を生産する食品工場を例にとって考えていきます。この工場の作業工程は2つからなり、前工程は「餅をこねる」、後工程は「粉をつける」の2ステップの作業で完成品としての「ずんだ餅」と「きな粉餅」が出荷される状態になる、と仮定します。

生産性と効率性

生産性の定義:
ある工程において、生産設備など、該当の作業に投入できるリソースを一定にした場合、より多くのアウトプットを生み出すことができることを「生産性が高い」と表現することにします。餅をこねる機械があるとして、1時間当たりこねられた餅を本当は2個準備できたはずなのに、1個しか準備できなかった状態より、「生産性が低い」といえます。

つまり、「生産性が高い」状態というのは、各工程において、持ちうる生産能力を使い切ったうえで、工場全体でこれより望むべくもない最大の生産量を実現することです。

効率性の定義:
成果物を作り出すのに、無駄にする経営資源がより少なくなる状態を「効率性が高い」ということにします。例えば、「餅をこねる」工程と「餅に粉をつける」工程が直列的につながっている生産ラインを仮定します。

「餅をこねる」工程は、1時間当たり、3個のこねられた餅を準備することができます。一方で、「餅に粉をつける」工程は、1時間当たり粉をまぶされた餅は2個までしか作ることができないとします。この場合、「餅をこねる」工程は、「餅に粉をつける」工程とバランスをとるために、1時間当たり、1個分の作業を意志を持ってさぼる必要があります。この意志を持ってできることをさぼらざるをえない状態を「効率性が低い」といいます。

つまり、「効率性がたかい」状態というのは、各工程において、誰もさぼることがない状態を達成することです。これは、「生産能力(工程能力)をすべて余すことなく使いきる」とも表現します。

意外に、業務改善とか財務分析の実務で、「生産性」「効率性」、「生産性指標」「効率性指標」がとり間違えられることが多いので、ここは要注意です。

理想とすべき生産ラインの工程設計とは

これはきわめて常識的な洞察(インサイト)が、そのまま正しいことである稀有なケースのひとつなのですが、生産管理において在庫は基本的に悪です。在庫が増えることは、工程設計が上手くなされていない、市場からの需要と工場における共有がアンバランスである、生産設備投資の内容とタイミングを見誤ったことなどの原因による結果として現れます。

理想的な工場であることは、清潔で休憩室が広く、自動販売機で購入できる飲料の種類が多いことも大切ですが、次の3つは少なくとも挙げておかなければなりません。

理想的な生産工程
  1. 市場ニーズに合致しているものを生産している
  2. 余剰生産能力を極限まで少なくし、高い効率で生産活動を行っている
  3. 儲かっている

市場ニーズに合ったものを生産するのは、どちらかというと、ものづくりを始める前により多くの注意を払う必要があります。そもそも、お客様が望むものが何かを把握するマーケティングとか、お客様が欲しいものを的確に提供できるようにR&Dで新製品を開発しておくとか。生産現場においても、どういう生産体制が適切か、配員や設備(什器備品に至るまで)の準備は万全かに目配せをしておく必要があります。

強いていうなら、「ものづくり」を始めてから市場ニーズに合致するためにできることは、柔軟な生産体制の運用でしょうか。需要変動に合わせた生産体制が取れればそれに越したことはありません。

ここでいう需要変動が生産体制に与える影響は次の2つの経路からと整理するのが分かりやすいです。

  1. 多品種少量生産の実現のため、頻繁な段取り替えを速やかに行う
  2. お客様の納品希望日(納期)にできるだけ沿うようにする

できるだけ、同じ生産ラインで多種多様な顧客ニーズにきめ細かく対応できれば、省コストで販売機会を増やすことができます。また、お客様が欲しいタイミングに商品をお届けすることができれば、販売機会ロスを最小限に抑えることができます。業務プロセスは、企業内でのチームワークを上手くとることで、こうした顧客ニーズを満たせるように設計されている必要があるのです。

余剰生産能力と儲かり度合いの関係とは

ある程度、お客が欲しがるタイミングとものの多様性を許容して、企業側で対応するには、それ相応のコストがかかります。柔軟に生産品目を変更でき、お客様の欲しいタイミングに納期を調整するためには、ある程度、生産能力に余裕がないと、すべての希望に対応することは難しいかもしれません。そこで、「余剰生産能力」が登場するのです。急な生産品目の変更や、短納期の注文に応じられるようになっておくためには、きつきつの生産計画では柔軟性に欠いて即応が難しいことが予期されるからです。

そして、余剰生産能力というのは、その能力を保有しているだけで、コストがかかるという欠点もあるのです。いつ使うかわからないけれど、急な注文変更に対応するために、工場の片隅に置いておく加工機械は、そこにあるだけで、減価償却費(またはリース料)を不可避的に発生させます。

これはいわゆる固定費というやつで、より厳密には「キャパシティコスト」というものです。営利団体としての会社は、経済性を無視した社会貢献を目的とするにしても、企業体を維持するために儲かるように経営されないといけないので、この不稼働な機械の減価償却費(またはリース料)も上回る収益を上げないと持続可能な工場経営にはならないのです。

工場の操業度や稼働率、固定費の関係は次の記事もご参考ください。

ですから、儲かり体質の工場にしたければ、いわゆる「生産性」だけを追求するのではなくて、「効率性」にも目配せし、固定費をいかに適切な水準に設定するかが大切である、ということになります。よって、「生産性を高める」ための設備投資は、効率性と儲かり度合い(固定費)との関係性を十分に評価してから実施したいものです。

さて、次回からは、このような顧客ニーズに柔軟に対応しつつ、余剰生産能力をどのようにコントロールするべきかについて、先人の知恵を少しずつ見ていこうと思います。

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(注)職業倫理の問題から、公開情報に基づいた記述に徹します。また、それに対する意見表明はあくまで個人的なものであり、過去及び現在を問わず、筆者が属するいかなる組織・団体の見解とも無関係です。

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