■ 本業専念と株主還元
手元資金が潤沢で無借金の上場企業が相次いで太陽光発電事業に乗り出していることが記事として取り上げられました。
2014/9/24付 |日本経済新聞|夕刊
無借金企業、太陽光に投資 養命酒など 資金や土地活用
記事では、養命酒製造、RKB毎日放送、大和冷機工業、などが取り上げられています。その他、実質無借金企業で太陽光発電事業に参入した企業が約60社もあるといっています。これらの企業の特質として、記事内では、「いずれも無借金あるいは手元資金が借入金を上回る実質無借金企業だ」というグルーピングがなされています。そして同記事には、「本業と関係ない事業に投資するより、自社株買いなど株主還元を優先すべきではないか、との意見もある」という感じの論調になっています。
記事におけるあるべき経営方針というものは、「本業に専念すべし」そして「余剰資金は株主に還元すべし」ということらしいです。
■ 事業ポートフォリオと投資ポートフォリオ
上記3社は、いずれも遊休土地や既存建屋の屋根の有効活用ということで、経営者としては株主から負託された資産からのリターンを最大にすべく経営努力の結果、すなわちROAを最大するための手段として、太陽光発電を選んだということです。
下表は、「自社株買い高水準 上期、6年ぶり 資本効率を重視」の際に提示したものの再掲です。
表の③を選ぶと、筆者が定義する「使用資産ベースのROA」は低下するのですが、「ROA」は、既存事業の収益性より小さくても、プラスでありさえすれば、全社としてROA向上に貢献することが見てわかるはずです。
事業投資する分野が本業でないのはけしからん、というのでは、GEは白熱電球を作り続ける会社であらねばならないし、ダイキン工業は、エアコンなぞ造ってはならず、飛行機用ラジエーターチューブを作り続けなければなりません。
それはイノベーションの否定????
要は、投資家として、自分自身で「投資ポートフォリオ」を組んで、好きな配分で「太陽光発電事業」を組み入れたければ、専業事業者への投資を組めばよいし、養命酒の製造販売事業にプラスして、遊休土地を現金化して配当(自社株買い)してもらうよりは、遊休土地からも少なからずリターン(新聞記事中では年利10%!)を稼いでくれる養命酒製造という投資商品を組み入れるかの選択は、株主の自由意思の問題です。
意に沿わない経営者に対しては、さらっと株式を市場で売却してほかの経営者に乗り換えるか、株主総会にて、議題提案権を行使して、事業中止なり、経営者の罷免なりしてください。それが株主民主主義というものはないでしょうか。
それが嫌なら、投資ファンドマネージャーに一任して、自分は余暇を楽しんでください。
一方、経営者は自らが「事業ポートフォリオマネージャー」として時間を惜しんで働かなくてはいけませんが。。。
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