Other Planning Tools & Techniques その他の計画ツール
ここでは、固有名詞としてテキスト内で目立っていたものを3つご紹介します。
- PEST Analysis(PEST分析)
- Contingency Planning(コンティンジェンシープラン)
- BCG Growth-Share Matrix(BCG成長マトリクス)
PEST Analysis(PEST分析)
5ステップからなる 戦略計画プロセス にて 外部環境分析 で用いられることになるはずの手法です。これは、外部環境分析をする際に、分析対象にたいする考察に抜け漏れがないように、着目すべき視点を洗い出してくれるものです。
PEST分析という名前のそれぞれのアルファベットにそれぞれの視座が代表されています。
Political 政治環境
国内外の政治の変化が自社に及ぼす影響を分析します。貿易・関税、価格に関する規制(独占禁止法など)、最低賃金、景品表示法、業法などの法規制、政治の安定性などが挙げられます。
Economics マクロ経済環境
これは、経営学による企業経営の1つの見方として、market theory というのがあり、どうあがいても、経営者は外部環境の変化に対して受け身にならざるを得ない、passive role を果たさなければならない、という企業観に強く影響されるものです。
例えば、外国為替、金利、インフレーションとデフレーション、景気循環、というマクロ経済環境のことです。
また、労働者の習熟度、失業率、その国の産業の成熟度、その国の産業経済のシステムの特徴、政府の介入の度合いなど、その業界が置かれた環境やミクロ経済学的条件も考慮されます。
Social 社会構造環境
政治とマクロ経済以外の社会全般がここでは取り上げられます。その国の文化、人口動態、人々の習慣や健康と労働・キャリアに対する価値観、製商品・サービスに対する要求、教育環境や気候変動に対する考え方などが挙げられます。
Technology 技術環境
将来、企業が取り組むべき対応を左右するような技術的要因がないか調べます。最近では、IoT、AI、Maas、フィンテック、ライフサイエンス などがその代表例でしょう。
Contingency Planning コンティンジェンシープラン
USCMA試験のことだけを考えれば、Multiple choice で、この用語の意味を理解しておけば十分です。
この文脈では、Scenario Planning も同じでして、what if 、将来何か企業戦略に影響を及ぼすような変化が起きたとしたら、どういう影響が発生して、どう対応するべきか、to waylay or mitigate the damage できる作戦をいくつか立てておく、ということです。
The Boston Consulting Group (BCG) Growth-Share Matrix
これは、もう日本の経営企画の世界ではもうお馴染みのアレです。
- Star (スター)
- High market growth rate
- High market share
- generating substantial revenue
- Problem Child / Question Mark (問題児)
- High market growth rate
- Low market share
- consuming a great deal of cash
- having potential to become a star
- Cash Cow (金のなる木)
- Low market growth rate
- High market share
- generating more cash than consuming
- Dog (負け犬)
- a mature industry that has a low market growth rate
- but high market share
ここで問題は二つ。Cash Cow が生み出した資金を Star や Question Mark に対して適切に再配分できるのかということと、事業の新陳代謝を実施できるのかということ。後者は、問題児は Star にも Dog にもなり得るので、見極めが大事で、Dog をなるべく犠牲を少なくしたまま市場から撤退させられるかということ。
USCMAの試験としては、それくらいの洞察で Multiple choice は大丈夫みたいです。
経営戦略論のメッカ 米国でのビジネス試験の特徴
これが言いたくて、今回の投稿記事を書きました。ここまで全三回、Strategy Planning を見てきましたが、高名な経営学者の学説が複数、ごく自然に組み込まれています。我々は、ポジショニング派とケイパビリティ派の対立構造で分析しますが、米国のビジネス現場では、すべての学説を吸収して昇華させ、一つの体系に仕立てています。
これは直接USCMA受験には影響しませんが、どういう学説が盛り込まれているか、一応確認しておきましょう。可能性は小さいですが、essay 問題に取り上げられた際に、他者と差別化できる表現が書けるかも。^^)
アンゾフ 戦略計画
そもそも戦略を、①目標設定、②外部環境分析、③内部環境分析、④戦略評価、⑤戦略運用のステップで策定し、策定後は戦略実行を統括する、という管理サイクルを考えたのは、アンゾフです。
それほど、市場の流動性が大きくない時代は、戦略計画に時間をかけても問題がなかったのですが。。。
アンドルーズ SWOT分析
とにかく、経営企画パーソンは、戦略を綺麗にデザインすることを心がけるべし、という教えが大事とする立場を代表するのがアンドルーズです。ここには、「組織は戦略に従う」という名言を残した、チャンドラーも含まれます。
アンドルーズは、SWOT分析 はあくまで分析ツールであって、その分析の上に戦略立案がくるものと力説していましたが、世の中的には、SWOT分析自体が大層な作業になるため、SWOT分析をした時点で戦略立案作業も終わった感がでてしまい、尻切れトンボの企業が続出するという、笑うに笑えない、逆説的な事態が散見されることになります。
ポーター 5 forces / positioning / value chain
USCMAテキストでは、外部環境分析で five forces analysis 、Functional-Level Strategyでは、Value chain、Business-Level Strategy では、①Cost leadership、②Focus cost leadership、③Differentiation、④Focus differentiation (niches)が取り上げられています。
ルメルト、ハメルら コアコンピタンス
経営戦略論の学説史では、ポーターが代表となるポジショニング派と対を為し、一大勢力だったケイパビリティ派を代表する彼らの主張からは、内部環境分析の手法として、competence, capability, resource という概念を学ばなければなりません。
competitive advantage を獲得するにはどうするべきかを説明できるようになっておく必要があります。
コトラー PEST分析
マーケティングの父として高名なコトラーからは、本稿上で取り上げた PEST分析 というマーケティング手法を上手く戦略分析ツールとして取り込んでいます。
ヘンダーソン BCG Growth-Share Matrix
そして、1960年代に登場後、いまだに重宝されているBCGマトリクス。
我々は、とかく、こうした経営戦略論を学説ごとに対立的に捉えることが多いですが、このように、USCMAの受験科目としてひとまとめにして体系化されたものを学習することにも大いに意義があるのはと思います。
ですから、受験には直接関係ありませんが、あえて、学説との refer を取りにいった次第です。ご参考になれば幸いです。^^)
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